日めくり栄養学

東大博士学生による結構まじめな栄養学

見たい景色がある、なら野菜を食べよう(Dietary vitamin and carotenoid intake and risk of age-related cataract)

コンタクトやメガネが開発されなかったら毎日ゆがんだ世界を生きることになって幸福度が大きく下がっていたに違いない。僕は裸眼の視力が著しく悪い、テクノロジーには期待しているが、生きるうえで目が見える状態だけはキープしていきたい。目には、レンズの役割を果たす水晶体、見たものを映す網膜があり、このレンズの厚みを変えることでピントを合わせています。しかし水晶体自身が動くことは出来ないので毛様体筋とよばれる周辺筋肉によって水晶体の厚さを調整していると言われています。この調節機能が低下することでピントが合わず見えない現象が作られます。この視力低下とは別で、目に関する病気で知れているものに白内障がある。

白内障は、目の中のレンズの役割をしている水晶体が白く濁ってくる病気です。主な原因は加齢で、水晶体の成分であるたんぱく質活性酸素によって変化して、白く濁ります。薬などでの治療法は現状なく、白内障手術を受けることになります。この病気にかかる人が世界で4500万人、医療費には570億円が相当する大規模病気になります。

今回の論文では所謂抗酸化物質が白内障予防に関係するのかどうかを過去のコホート研究を基にメタ解析したものである。研究チームは結論として、相反する結果が多少あるものの、抗酸化物質に富む食品の摂取は大きく白内障予防に貢献する可能性がある(約30%の人々が改善した)と述べている。化合物別にみると、ルテイン(28%)、VitaminC (18%)  βカロテン(8%) VitaminA(6%)として報告している。

自然の食材摂取の利点は上記のような化合物を包括的に摂取できることである。サプリメントに頼るのではなく、食品からの摂取を心掛ける。そこには未だ調べられれていない機能をもった化合物の存在や、化合物同士の相互作用が我々の想像を超えた影響を与えてくれるかもしれない。こういった効果について怪奇的になってしまう気持ちもわかるが、僕は野菜が持つパワーは極めて大きいと思っている。無理はしなくていい、ただ積極的にとってみよう。

 

参考文献

Hong Jiang, Yue Yin, Chang-Rui Wu, Yan Liu, Fang Guo, Ming Li, Le Ma. Dietary vitamin and carotenoid intake and risk of age-related cataract. The American Journal of Clinical Nutrition, 2019; 109 (1): 4