日めくり栄養学

東大博士学生による結構まじめな栄養学

2/28 Antioxidant Balance and Regulation in Tomato Genotypes of Different Color(トマトにおける抗酸化物質の研究)

ポリフェノールなど自然由来の化合部が持つ抗酸化機能が着目されてすでに月日がたった。しかしながらフェノール基を2個以上持てばポリフェノールであり、その構造や化合物の種類は多岐にわたる。例えばアントシアニンであればアントシアニジンと呼ばれる基盤構造があり、それらに結合する官能基や糖によって名称や機能が変わる。

 

同じ作物であっても赤いものと紫っぽいものオレンジのものなど色のバリエーションが多岐にわたる作物があり、今回の論文ではトマトを対象としている。トマトが抗酸化作用を持つ化合物の摂取元であることは知られているが、その化合物詳細や遺伝子型についてはほとんど分かっていなかった。本日紹介する論文はメキシコの大学によって発表されたAntioxidant Balance and Regulation in Tomato Genotypes of Different Color.(異なる色を示す遺伝子型を持つトマトにおける抗酸化力のバランスと制御)である。

 

本チームは抗酸化機能で知られるカロテノイド、ポリフェノール、トコフェノールなどの含量をそれぞれのトマトに対して測定をし、同時に抗酸化力についても測定している。その後、各種遺伝子発現量などを確認している。

 

結果はもちろん、それぞれの色に寄与する抗酸化物質が多く、その化合物を合成するために生合成経路の発現量も増大していることを確認している。特定の化合物が合成されるのと同時に他の抗酸化物質を合成するための遺伝子発現量はていかしており、カルテノイド、トコフェノール、クロロフィル間で総合成量を調整していると述べている。

 

こういった表現型と遺伝子型、さらにはそのブラックボックスを明らかにすることは、人為的に目的の表現型を示す作物を育種しやすくしたり、高栄養価の作物を作成することに繋がっていく重要な研究である。

 

 

Journal Reference

  1. Cristián Vela-Hinojosa, Héctor B. Escalona-Buendía, José A. Mendoza-Espinoza, Juan M. Villa-Hernández, Ricardo Lobato-Ortíz, Juan E. Rodríguez-Pérez, Laura J. Pérez-Flores. Antioxidant Balance and Regulation in Tomato Genotypes of Different Color. Journal of the American Society for Horticultural Science, 2019; 144 (1): 45 DOI: 10.21273/JASHS04525-18