日めくり栄養学

東大博士学生による結構まじめな栄養学

妊娠中の運動による効用(Exercise during pregnancy protects offspring from obesity)

男性だからなのか、妊娠中の運動なんて言語道断であると思っていたが、軽くググってみただけでもしたほうが良いという意見は多くて驚いた。今日の論文は栄養とは関係ないが、妊娠中の運動が生まれてくる子供にとって大きなメリットがあるということを示した論文である。

ワシントン州立大学の研究チームは妊娠中の運動によって子供の代謝状態が健康的に良い状態になると述べている。妊娠中に毎朝60分の運動をしていた母マウスから生まれた子マウスを調べたところ褐色脂肪組織に関連するタンパク質レベルが上昇していることを確認した。この組織は脂肪や糖質を熱に変換する機能を有しており、発熱機能を高めることが知られており実際にこれらのマウスの体温がコントロール群と比較して高いことを確認した。この機能を持つ個体は肥満や代謝による病気のリスクが低いことが知られている。運動を行った母から生まれた子マウスは授乳後に高カロリー食を与え続けたところコントロール群よりも体重上昇が見られなかった。

 

母親の生活習慣が子供の人生に関与するレベルで効いてくる、胎児の健康状態などは極めて重要であることを再認識した。妊娠してるんだからゆっくり休んで、なんて優しさはもしかしたら母にとっても子にとっても大きなお世話なのかもしれない。

 

参考文献

Experimental Biology